時系列データ解析 04 ~ 自己相関の検定
沖本先生の本の続きです。今回は自己相関の検定です。
そもそも時系列データに自己相関構造がなければ、モデルを構築して、そのモデルから予測を行うことも難しくなります。
そのため、自己相関の有無を調べることは、大変重要なことになります。
定常過程での基本統計量は、時点に依存しないため、標本統計量からすぐに計算できます。
期待値、自己共分散、自己相関係数は、それぞれ次のようになります。
それぞれ、標本平均、標本自己共分散、標本自己相関係数と呼ばれます。
この標本自己相関係数 を使って、仮説検定を行います。
帰無仮説は 、つまり自己相関がないということです。
対立仮説は、 で、自己相関が ではないということです。
特に、 が 系列の場合、標本自己相関係数 が、漸近的に平均 、分散 の正規分布に従うそうです。これについて、統計量を求めることになります。
複数の に関して、自己相関係数 が の場合を検定する場合は、帰無仮説は となります。対立仮説は、 少なくとも一つの において となります。
この検定は、かばん検定(portmanteau test)と呼ばれ、Ljung Box検定が有名です。
Ljung Box検定の統計量は、
が一定の条件のもとで成立します。この検定では、小さい を選択すると高次の自己相関を見逃したり、大きい を選択すると検定の検出力が小さくなるなどの問題があります。
を選択する際の目安として、 がありますが、実務的には複数の に関して検定を行っているようです。
と表現されます。
これで第1章は終了です。